ICとは?ファクターと将来の収益の関係を読む
情報係数と順位 IC の違いを架空の例で学び、未来収益の定義、欠損、小標本と費用を含めて結果を読む方法を説明します。
IC の意味
日次 IC は、同じ日に並んだ銘柄を比較する
ここで扱う日次 IC は、ある日の各銘柄のファクター値と、各銘柄の未来収益ラベルとのピアソン相関です。「横断面」や「横断面相関」という言葉は、同じ日の複数銘柄を横に並べて比較することを意味します。一つの銘柄の値を何日も並べる時系列相関とは、比較の単位が違います。
ピアソン相関は、二つの数値が直線的に一緒に変化する程度を表します。計算できる場合、値は −1 から +1 の間です。正なら高いスコアと高い未来収益が対応する傾向、負なら高いスコアと低い未来収益が対応する傾向があります。0 に近い値は、この比較で直線的な関係が弱いことを示します。あらゆる関係がないと証明する数字ではありません。
日ごとに IC を計算すると、関係が続いていたか、日によって大きく変わったかを見られます。期間の平均だけでなく、計算できた日数、各日の銘柄数、欠損の状況も一緒に確認します。用語の整理にはファクターと IC の基礎が役立ちます。
順位 IC は、値の代わりに順位を比べる
順位 IC(順位 IC)は、ファクター値と未来収益のスピアマン順位相関です。それぞれを順位に置き換え、その順位同士の相関を調べます。数値の間隔よりも、大小の順序がそろっていたかに着目する方法です。同じ値がある場合は同順位の扱いが必要で、通常のスピアマン相関では平均順位を使います。
次の表は、説明のために作った架空のデータです。すべて同じ判断日の銘柄で、未来収益は同じ期間について測ったものとします。コードも数値も実際の銘柄や KabuForge の実行結果ではありません。両方の順位を、大きい値から1位、2位、3位としています。
| 架空コード | ファクター値 | 未来収益 | 値の順位 | 収益の順位 |
|---|---|---|---|---|
| EX-A | 30 | +5% | 1位 | 1位 |
| EX-B | 20 | +1% | 2位 | 2位 |
| EX-C | 10 | −2% | 3位 | 3位 |
この例では二つの順位が完全に一致しているため、順位 IC は +1 です。ただし、ファクター値の間隔は10ずつ、収益の差は4ポイントと3ポイントです。順位が一致していても値同士が完全な直線関係になるとは限らず、Pearson IC と順位 IC は同じ数字になるとは限りません。
この +1 は、架空の3銘柄の並び方を説明する数字です。将来の予測精度や、実際のファクターの有効性を示す結果ではありません。
符号を読む前に、方向とラベルを確認する
負の IC を見ただけで、「悪いファクター」とは判断できません。元の値が小さい銘柄を選ぶ設計なら、元の値と未来収益の負の相関が、その方向と整合する場合があります。元の値を反転して「高いほど選びたい」スコアにする場合は、相関の符号も反転します。
何日先の収益を測るか、どの価格からどの価格までを測るかによっても、関係は変わり得ます。スコアの方向と未来収益ラベルの定義を先に決め、どちらの値を評価しているかを確認しましょう。結果を見てから方向を選び直すと、その期間に都合よく合わせることになります。
未来の答えは、評価のためにだけ使う
KabuForge の公開研究コースの第2コースでは、ファクターの特徴は判断日より前の取引日、D-1 の終値までで計算します。評価用の未来収益ラベルは、注文を実行する日の始値から、5番目の後続観測日の始値までの単純収益です。特徴とラベルは別ファイルで保存し、ラベルは評価画面でだけ使います。
未来収益は、過去の特徴とその後の結果を比較するための答えです。同じ判断日の銘柄選択へ戻すと、その時点では分からなかった情報を使うことになります。期間末尾で未来の価格が足りない行は欠損として残します。データの利用時点と先読みバイアスでは、この時間の境界を詳しく確認できます。
計算できない日を、IC が0の日にしない
その日のファクター値が全銘柄で同じなら、値にばらつきがないため相関を定義できません。未来収益がすべて同じ場合も同様です。特徴やラベルが欠けている行は、その日の比較に使える組から外れます。残った組が少なすぎる日や、必要な条件を満たさない日は、値とともに理由を確認する必要があります。
「計算できない」と「相関を計算したら0だった」は別です。無効日を0で埋めると、期間平均や変動の読み方が変わってしまいます。欠損の理由、有効な銘柄数、カバレッジを見て、どこまで比較できたのかを確かめましょう。
相関から、費用を差し引いた利益は分からない
IC が正でも、保有する銘柄が上がったとは限りません。全銘柄が下落した日に、高いスコアの銘柄ほど下落が小さければ、正の相関になることがあります。IC は相対的な関係を表し、購入したポートフォリオの収益率を表すものではありません。
運用結果には、どの銘柄をどの比率で保有するか、入れ替えの頻度、注文の成立条件、手数料やスリッページが関わります。IC の値を費用差し引き後の収益に読み替えず、保有ルールと取引費用と売買回転率を別に評価します。
小さな教材の結果を、安定した予測力と呼ばない
3銘柄は計算の読み方を学ぶには扱いやすい一方、一つの銘柄の値や順位の変化が結果を大きく動かします。3銘柄で高い IC や順位 IC が出ても、幅広い銘柄や別の期間に通用する統計的な安定性を証明できません。
また、5観測日先までのラベルを毎日作ると、隣り合う日の評価期間は重なります。同じ期間の値動きを共有するため、日数をそのまま独立したサンプル数として扱えません。日次 IC の平均を標準偏差で割った ICIR も、公開教材では記述量です。その数字だけから、統計的な有意性を判断することはできません。
計算期間、方向、対象銘柄を結果に合わせて何度も選ぶと、過去の偶然を拾いやすくなります。定義を先に固定して別の期間でも確かめる考え方は、過剰適合と期間外検証につながります。IC を読むときは、数値の大小とともに「何を、どの時点の情報で、どの期間の収益と比べたか」を説明できることを目指しましょう。
教材の出典:KabuForge の画面操作で学ぶ研究コースのデモ 2。架空コードの表は本記事の説明用に作成した例です。
本記事は研究手順を学ぶための教材です。特定の銘柄や売買を推奨せず、将来の収益を保証するものでもありません。免責事項
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対象: main のソース候補(未公開) · 公開ソース docs/ja_JP/GUI_RESEARCH_COURSES.md
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