日足だけでは分からないこと:高値・安値と約定順序
始値・高値・安値・終値が同じでも、日中の値動きの順序は異なります。日足で検証できる範囲と、約定の仮定を説明します。
日足は一日の動きを四つの価格にまとめる
日足の始値はその日の最初の取引価格、高値と安値は日中の最大・最小の取引価格、終値は最後の取引価格です。実際のデータでは、市場や取得元の価格の定義も確認します。
四つの価格は一日の範囲を教えてくれますが、途中のすべての動きを残すものではありません。高値に先に達したか、安値に先に達したか、各価格付近でどれだけ取引できたかは、四つの値だけからは分かりません。
同じ四本値に、二つの経路が対応する
説明用に、始値100、高値110、安値90、終値105という架空の日足を考えます。途中の順序が「100→110→90→105」でも、「100→90→110→105」でも、同じ日足になります。
| 経路 | 日中の順序 |
|---|---|
| A | 始値100 → 高値110 → 安値90 → 終値105 |
| B | 始値100 → 安値90 → 高値110 → 終値105 |
この数値は実際の銘柄の記録ではありません。同じ日足から、相反する順序を一意に決められないことを示す学習用例です。
複数の条件が同日に成立する場合
日中の上昇と下落で別々の売買条件が発動する設計では、どちらが先だったかによって結果が変わり得ます。日足しかないのに、都合のよい順序で実行したと決めると、観測していない動きを結果へ足すことになります。
順序が不明な日は不明として扱う、複数の仮定で結果を比較する、必要な時間粒度のデータを用意する、といった方法を検討できます。どれを選んでも、どの順序を観測できていないかを報告書に残します。
価格に触れたことと、注文が成立することは違う
ある価格が日中の高値と安値の間に入っていても、自分の注文がその価格で成立したとは言えません。注文を出した時刻、売買区分、数量、価格の刻み、利用できる流動性などが関わります。
高値や安値を都合よく約定価格に使うと、実行可能性を過大に見積もる場合があります。価格のずれや市場への影響も、手数料とは別に考える必要があります。
より細かなデータにも、分からないことは残る
分足があれば、一日を複数の区間に分けて見られます。ただし、その区間内の高値と安値の順序は、やはり分からない場合があります。取引の記録が細かくても、過去の注文待ちの状態や自分の注文による影響まで復元できるとは限りません。
データを細かくすることは、必要な情報を増やす一つの方法です。それだけで費用や注文成立の問題が解決したことにはなりません。売買ルールに必要な情報と、実際に観測できる情報を対応させます。
KabuForge の公開例では、成立価格を先に決める
公開研究コースの参考例は、前の観測日の終値までで判断し、次の観測日の始値で成立を判定します。日中の高値と安値を見て、最も有利だった順序を選ぶ教材ではありません。
バックテストの基本と合わせて、判断時点、成立価格、未成立時の扱いを説明できるようにしてください。日足で分からない順序を仮定した場合は、その仮定と結果への影響を明記します。
出典と関連教材
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